雲と「私」

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地球が温暖化したせいか(気象庁によれば「長期的には100年あたり1.21℃の割合で上昇しています」とのこと)、局所的な豪雨がよく降るようになり、それが当たり前のようになってきました。温暖化は気のせいではないのは確かで、今年は特に暑く感じましたが、数値から言っても8月の日本の平均気温偏差が+2.16℃だったとのこと(9月に至っては+2.66℃だった模様 気象庁資料より)。

また、今年の夏は特にお天気雨が多かったように思います。青空も見えていて光に溢れてまぶしいばかりなのにザーッと雨が降ってくることが何度かありました。おかげでこの夏は何度も虹を見ることができました。一度は旅行中に二重の大きな虹が海の上に架かっているのを見ることができ、とても感動しました。

これを書いている今(8月末)も、ふと空を見上げると、重い積乱雲がモクモクと盛り上がり、空を覆っています。

色んな形や色の雲を見ながら、ふと最近のスピリチュアル的量子物理学的な世界像に重ねれば、人間という意識体も雲のようなものではないかと思いました。

雲は現れたり消えたり、雨になったり雪になったり、薄い集まりになったりぎゅっとたくさん集まって重い灰色や真っ白の巨大な集まりになったりします。

人間も生まれたり死んだり、色々なアイデンティティをまとい、集団としてあるいは個人として行動したり、立場の違いから決裂すると同じ人間同士が対立したり、価値観を共有する人たち同士が結束を固めたりします。

雲と水蒸気

雲は水蒸気でできています。空気中の水蒸気は湿度として感じるくらいで、わたしたちは雲になるまで水蒸気を目で見ることはできません。

砂漠のような極度に乾燥したように思える場所にも水蒸気はあるというから驚きです。目に見えないから水蒸気などないという思い込みを払しょくする事実ですよね。それが証拠に、砂漠で生きる虫は空気中の水滴を集めて生きています。さらに、虫が空気中の水滴を集めて水分を補給しているのを参考にして、砂漠やいろいろな場所で空気中の水蒸気から水を収集する装置を作った人たちがいます(『砂漠の虫からヒントを得た置いておくだけで空気中から水分を集められる装置』『砂漠の乾燥した空気から水を採取するシステムが誕生』GigaZineより)ので、砂漠にも水蒸気があるということは明らかです。

話は逸れますが、最近では都市化によって土がアスファルトや建物に覆われてしまったためか、日本の都会の方が砂漠よりも湿度が低いことがあるそうです。これで温暖化が進んでいるわけですから、この夏、都市にいる人たちはカラカラに乾いてしまったのではないでしょうか。

さらに話が逸れますが、上述の空気から水を作る装置開発の記事の最初のものが2012年、次の記事が2017年で、それから6年後の2023年現在、空気中から飲料水を作る装置はすでに製品化され一般に販売されています。湿度はあるのに雲が生成される条件が整わないために雨が降らない地域などで安定した飲料水を供給し始めています。2019年に書かれた記事『空気から飲料水をつくりだすイスラエル発のエコスタートアップ「Watergen」』によれば災害などで水道のインフラが断たれてしまった時にも活躍しています。また、日本では一般家庭用の空気から飲料水を作るウォーターサーバーが売られているほどです(何社かありますが、宅配水のポータルサイトに比較記事がありましたのでリンクを貼っておきます)。世界的な水不足を懸念している研究者もいるようですが、水はなくても水蒸気はどこにでもあるということのようなので、これで一安心ではないでしょうか。さらには地下水の汲み上げすぎによる地盤沈下、地球の極の変動や地球の自公転と月との関係の変化などを示唆する研究者たちもいますので、地下水に代えて水蒸気を水に変える方法を使えば、少しでも安定した地球環境を守るための貢献ができるのかもしれません。

話を元に戻しましょう。水蒸気を水にする方法があるのはわかりました。では、水蒸気はどのように雲になるのでしょうか。Wikipediaによれば「空気中の水蒸気が凝結(凝縮ともいう)されて液体(水)になるか、凍結(凝固)または昇華されて固体(氷)になることで雲が作られる。」そうです。水蒸気がぎゅっと集まってある程度の大きさ(半径1μ~10μm=0.001~0.01mm)の粒になり、その粒(雲粒または氷晶)の集まりが雲という塊になるということです。更にぎゅっと小さな水の粒同士がくっつくと、空に浮いていることが出来なくなって雨として地上に落ちてくるというわけですね。

雲と人間(意識)

わたしたちは水蒸気が見えないため、何もない空間に雲が浮いていると思っていますが、水蒸気の密度が濃いか薄いかの違いであって、その状態の見かけのちがいの違いに名前を付けて認識しています。水蒸気、雲、雨、雪、雹、霰、霧、水、氷、川、湖、池、沼、海。

雲を形成していない限り、わたしたちの脳は何もないとしか認識できないようになっているようです。雲の状態になった水蒸気は光を反射します。光はわたしたちの目に入って網膜にある神経を刺激して脳内へ信号を送り、脳が光の刺激をなんらかの形で認識して「雲」の形状を再現しています。光を反射する形状になっていない水蒸気は認識していないだけということになります。

このような脳の認識の限界の裏側に、もっと別の力が働いていなければおかしいと感じ、それらを科学的に解明しようとしている人たちがいます。

フィールド 響き合う生命・意識・宇宙』、『意思のサイエンス』、『パワー・オブ・エイト――最新科学でわかった「意識」が起こす奇跡』などの著書を記したジャーナリストのリン・マクタガートさん、『「思考」のすごい力 心はいかにして細胞をコントロールするか』の細胞生物学者ブルース・リプトンさん、『イザヤ・エフェクト―古代の預言者と量子論をつなぐ「祈り」のテクノロジー』、『聖なるマトリックス―世界とあなたを変えるための20のカギ』のニューエイジ作家グレッグ・ブレイデンさん、『あなたという習慣を断つ』、『あなたはプラシーボ: 思考を物質に変える』『超自然になる ― どうやって通常を超えた能力を目覚めさせるか ― 』の自らトライアスロン競技中に事故で損傷した12の背骨を、治っている状態をイメージする瞑想を続けただけで治してしまったカイロプラクティック博士ジョー・ディスペンザさん、『喜びから人生を生きる! ― 臨死体験が教えてくれたこと』、『もしここが天国だったら? ― あなたを制限する信念から自由になり、本当の自分を生きる』の臨死体験経験者アニータ・ムアジャーニさん、『奇跡の脳―脳科学者の脳が壊れたとき』、『WHOLE BRAIN(ホール・ブレイン) 心が軽くなる「脳」の動かし方』の神経解剖学者ジル・ボルト・テイラーさんたちは、それぞれの体験や知識や研究の結果として異口同音でわたしたち人間の意識はひとつのものが別々のように捉えられただけのものであると言っています。

これは水蒸気と雲の関係、それを捉える私たちの脳の働きと似ていないでしょうか。

上にあげた著書や著者について取り上げるのは次回以降にしたいと考えていますが、前回のブログで書いた「心臓が意外と広い範囲にいる人に気分として伝播する電磁場を作っている」という話のように、目に見えない電磁場という場(フィールド)を形成しているというだけでもわたしたち人間一人ひとりは繋がっていることが言えるのではないでしょうか。

その人が同じ空間に入ってくるだけで場が華やいだり、ある人にだけは何でも話せるような気がしたり、ほかにたくさん人がいても必ず道を聞かれる人がいたり、自分ことをよく思っているか悪く思っているか感じ取ったり、子どもが世話をしてくれそうな人になついたりするというのはわたしたちが自分たちが思っている以上に分断されていないということを表していないでしょうか。

上にあげた欧米スピリチュアル界の有名人である彼らの主張を総合してみると、量子物理学の「量子の粒子と波動の二重性」や「量子状態」「量子の重ね合わせ」などが難解なのは、どうやらわたしたちの脳の機能にその理由があるようです。

ジル・ボルト・テイラーさん曰く左脳には自分と自分でないものを区別する機能が備わっています。この機能を脳内出血による脳の損傷で損失したテイラーさんは自分が宇宙の大きさになったように感じたと書いています。臨死体験経験者のアニータさんも体の外に出たあと、しだいに自分が宇宙の大きさになったように感じたと記しています。この状態では、時間と空間という概念がなくなって、他の人の考えや想いや気分がわかる、つまり自他の境が曖昧になるということを言っています。

しかし、わたしたちは分断され、まったく別々の存在だと思って暮らしています。

光とわたしたちが定義している電磁波は、紫外線と赤外線の間の可視光線のだいたい700〜380nmの範囲の波長のことを指します。電磁波は長波の1kmからガンマ線の10pm(10億分の1ミリ)までの範囲がありますから、わたしたちの目は電磁波をほんの一部しか捉えられていないことがわかります。

しかし、目に見えないから紫外線や赤外線が存在しない、放射線が存在しない、Wi-Fiや携帯の電波やラジオの信号が飛んでいないと信じている人はいないと思います。測定できる機器を開発して、わたしたちはその恩恵にあずかっています。

では、なぜわたしたちは自分たちが繋がっていないと思うのでしょう?

水蒸気のように、感知する器官や脳がないだけであって、水蒸気自体はあるのですから、意識の密度が濃いところが「私」であり「あなた」や「彼ら」であって、薄いところにも意識はあるという主張も計測できるようになれば信じるに値する説ではないでしょうか。

アイデンティティ

わたしはアイデンティティ(=自己同一性)にはいくつか種類があると考えているのですが、この自他を区分けする機能と記憶は脳が作り出すアイデンティティのひとつではないかと考えています。

もう一つは関係性によって名づけられるアイデンティティで、相対的に「下にきょうだいがいる」+「女である」=「お姉さん」、「子どもがいる」+「女である」=「お母さん」、「高校へ通っている」+「女である」=「女子高生」、というような形で出現します。

さらに、自他の区別がなくなっても「感じる」「意識される」「私」というのが究極の最後のアイデンティティで、身体があって時空間の中で捉えられる「私」だとわたしたちが思っている「私」以前にも「私」という核があるのだろうと、ジル・ボルト・テイラーさんやアニータ・ムアジャーニさんらの臨死体験を通して認識するに至りました。

さて、これをスピリチャル界隈(宗教も含め)の人々は、「魂」とか「霊」、あるいは「意識体」といった呼び方をします。霊や魂や意識は五感で捉えることができません。第六感を持っている一部の人たちは、こういうものを感じ取ることができると主張しています。また、彼らはすべての人がこの能力を開発して取り戻す(失われているだけなのだそう)ことができると言います。

最新の科学の研究の中には、こういったものを捉える方法を見出していると主張しているものがいくつかあります。

一つは、瞑想によってテイラーさんが脳卒中で損傷を受けたのと同じ「言語中枢」と「方向定位連合野」の活動を止めること。テイラーさんがその著書『奇跡の脳』と『ホールブレイン』で取り上げていたアンドリュー・ニューバーグさんは自ら「悟り」の境地へ達した経験とその悟りの境地と脳の関係を医療機器を使って研究し、その解明をしたというのです(『「悟り」はあなたの脳をどのように変えるのか ― 脳科学で「悟り」を解明する!』アンドリュー・ニューバーグ著)。

また、ジョー・ディスペンザさんの『超自然になる ― どうやって通常を超えた能力を目覚めさせるか ― 』にも彼のワークショップに参加した人たちの「トランス状態」体験中に脳に何が起きているかを測定したデータが載っています。瞑想状態にあるアルファ波、シータ波、およびデルタ波が出ているときの脳スキャンでは、左脳の耳のあたり(言語中枢と方向定位連合野がある位置)が不活性であることが見てとれます。

これが何を表しているかというと、普段のわたしたちの「左脳」を使った理解の方法では第六感は働かず、雲になっていない場所の水蒸気が見えないように、魂や意識を理解できないということになります。

つまり、「私」という存在が他者とは別ものであり同時にひとつであるという状態を、言語として理解することも、身体の感覚や認識を使って感じることも、不可能だということを示しているように思います。

この科学者たちは科学的な考察を通して、五感と言語だけでは捉えることのできないものの存在を主張しています。それらは新しい考えではなく、太古の昔からシャーマンや仏教には知られていたことであり、わたしたちは単にそのことを忘れているだけであると言っています。

まとめ

これを書き始めてから1か月近くが経ってしまいました(9月末)。湿度の高い秋の入り口がやってこようとしている今日、雨がたくさん降って地面を濡らしています。エアコンの室外機から水となった水蒸気がマンションの廊下に流れています。重いグレーの雲、デスクの上のグラスの中の氷、グラスの中の水、グラスの表面で結露した水滴はすべて同じ「水」の違う形です。

前述のスピリチュアル界の有名人たちが声高に言うように、相対的な、物語の中で作られる「私」というアイデンティティだけにとらわれすぎず、瞑想を続けて左脳の働きを少し抑え、音楽や絵画を楽しんで右脳を活性化させて、いろいろな形の「私」を味わえるようになりたいものです。

これを何度か書き直して完成したのはもう10月下旬です。季節はすっかり変わって少し肌寒くて湿度は50度以下になりました。2か月の間に季節が変わり、あの頃のわたしと今のわたしは同じでしょうか?そんなことを考えてしまいました。

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