所属感覚

どこかに仲間がいると思うこと

前回ブログとしてテイラー・スイフト裁判のことを書きましたが、その時に付随して思ったことを今回書きたいと思います。
MeeTooやTime’s Upなどの運動に見られる女性間の連帯感は、私に所属感覚を与えてくれました。

その一つは、女性のエンパワメントやフェミニズムとは言いつつも、排他的でない感覚です。

1970年代のウーマンリブ運動の中に見られたような「男は敵」といった頑なさや拒絶感は比較的少なかったように思うのは私だけでしょうか。
「フェミニスト」に女性の立場を理解してサポートする男性を加える柔軟さを持った動きだったと感じました。
目的を同じくする、色々な立場の人が目的を達成するためにどうすれば良いかをそれぞれの場所から考えて行動や発言を行うという、緩い「仲間意識」があったのではないかと思います。
この目的は具体的には女性が一部の男性から差別を受けたり、性的虐待を受けたりすることなく能力を発揮でき、「ノー」と声をあげたりできるような世界にしていくことだったりするわけですが、さらにそういう世界の実現が、女性のためのみでなく「男らしさ」の呪縛に苦しむ男性のためにもなっていくという考えのフェミニスト男性にとっての目的にも繋がって、同じ目的のために仲間として認識されていたのではないかと感じたのでした。

もう一つは、1980年代まであった女性間の断絶のなさです。

セクシーだったり可愛かったりする「女性性を楽しむ」ことを「男に媚びを売る行為」とみなすフェミニストが減り、むしろ「女性性を楽しむ」おしゃれを安心してできることを求めていたように感じました。
ただ、Time’s Upの黒いドレスに関しては黒を着ない女優に対して一部の人々からの風当たりが強かったなどはあったようですが、全体的には女性間の意見の対立から、せっかくの問題提起が自ら空中分解してしまうような感じがなく、方法論にこだわらずに連帯感を保っていた感があったと思います。

私がこんなことを書く理由の一つには30年ほど前に勉強したくて本を読んだりシンポジウムに参加して肌で感じた、排他的でトゲトゲした空気感と全く違ったと感じたからです。

居場所があると感じること

社会運動に関して若い頃に感じていた融通の利かない閉塞的で排他的な集団とは違い、今回の運動は問題に対して活動する場面においてのみの結集であって、自由参加で自由解散、必要に応じて集まり意志を表現したらそれぞれの場所に霧散していくという集団とすら呼べない感じのものだったように感じます。
この緩さの心地よさと、それぞれの場所に霧散していった先にどこにでも仲間がいて居場所がどこにでもあるような安心感が私にはとても嬉しかったのでした。
前時代的な活動と違ってお互いにしがみつくことなく、いつも通りに暮らしている人々の間に、同じように考えて問題提起をできる人々がいるということ、共有できる思いを持った人々がいるということが今回の運動の21世紀らしさだったのではないかとおもいました。

これは、5月6日に渋谷区で行われた東京レインボー・プライドの活動に似ています。この日代々木公園には実に多くのレズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの人々が集まるのですが、この催しが終わると全員が普段の生活に霧散して行きます。
LGBT+の当事者たちはこの日この人数の仲間を目にすることで、自分が一つのコミュニティーの一員であることを実感します。この催しの目的は社会に対して自分たちの存在をアピールして、差別を無くし理解を促進することだと理解していますが、存在をアピールすることのリスクもあるわけです。それでも存在を可視化することはコミュニティー外の人々に対してやっているようでいて、自分たちの内にも「一人ではない」という所属する場を提供することになっています。
フェミニズム運動にフェミニスト男性が加わってきたように、LGBT+の運動にもアライという当事者以外の賛同者も年々増えています。

この居場所があるという感覚は日々を暮らすなかでどんなに心強いものでしょう。

所属感覚の良い点、悪い点

その心強さが、マイナスに転じることがあります。
それが、私が前時代的と書いたお互いにしがみつく活動や運動になってしまった時です。
そうなると目的は見失われ、団体の存続が重要視されたり、敵対する相手を強く認識することでお互いの結束をより強固なものにすることが目的に取って代わられます。

私はそういった革命や運動、闘争といった形の変化の起こし方ではない変化を、個々人の中に起こすことで霧散していくジェンダー平等、女性のエンパワメントを目指しています。
私が一方的に話す形のセミナーのような形の活動ではなく勉強会という横並びの活動をしているのもそのためです。
所属感覚を貪ることなく自立した個々人の意見交換の場を提供したいと考えています。

6月24日(日)の17:15からかながわ県民センターにて読書会を予定していますので、お時間がある方はぜひご参加ください。
課題図書がありますが、読まなくても参加できるように内容を考えておきますので、ご心配なく。