やさしい現実との向き合い方―メタファシリテーション

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「やさしい現実」シリーズ第6弾をお届けいたします。

あなたがここへたどり着いたのは何を探していたからでしょうか。現実が厳しいと感じたからでしょうか。現実はわたしたちが思っているよりも優しいものです。

でも、何か思い通りにならないと思うことがあるなら、それは現実と戦っている証拠です。現実と戦えば必ず負けます(バイロン・ケイティ)。

この記事との出会いが、あなたにとって現実と戦わずにあなたの大事な人生を大切な人々と豊かで穏やかなものとして生きていくヒントになればうれしいです。

今回はメタファシリテーションをやさしい現実との向き合い方の一つとして紹介します。

メタファシリテーション

メタファシリテーションはNPO法人ムラノミライの和田信明さんと中田豊一さんが開発・体系化した問題解決に役立つ対話手法です。

ファシリテーターが相手の自尊感情を傷つけることなく、必要以上に介入せず、「問題を解決する方法を授ける人vs受ける人」という依存関係にも陥らずに、問題を解決していくことができるのが大きな特徴です。

NPO法人ムラノミライによってファシリテーター育成のワークショップが提供されており、わたしも大型台風やコロナで中断するまでは、2回目までのワークショップに参加していました。また、メタファシリテーションについては、過去のブログでも紹介したことがあります。

これがなぜやさしい現実との向き合い方の一つとなるかというと、わたしたちが普段思い込みによって現実と向き合えていない状態から、「正しい」質問によって質問者が自分が質問していることのメタ認知を得て、回答者と一緒に思い込みから出る方法だからです。

最初のセミナーで学んだのは、「なぜ」と聞かれると、わたしたちは罪悪感が少しでもあるときは言い訳を始めてしまうし、承認欲求があるときは自慢を始めてしまうということでした。例えば、うまくいかなかったときは「天候のせい」にし、うまくいったときは「自分の努力や工夫のせい」にするといった具合です。

特に、わたしたちが「なぜ?」「どう?」などの質問がいかに思い込みを引き出し、かつ強化することにつながりやすいかを知ることが目からウロコの知識でした。例えば、わたしたちは「なぜ?」という質問にはつい言い訳をする反応をしてしまうようになっていること、「どう?」という質問は質問者の負担は軽く回答者の負担が非常に重いことなどを学びます。そうすると、この質問方法が問題解決には全く不向きなことがわかります。

また、思い込みには現実よりも理想が含まれていることも分かるようになります。例えば、セミナーでは「朝ごはんは何が好きですか?」と「朝ごはんはいつも何を食べますか?」という質問を受けました。両方に「ごはんとみそ汁」と答えた人が、「今朝は何を食べてきましたか?」「昨日の朝は?」「おとといの朝は?」と聞かれると、すべて「パン」でした。

これは思い込みがあらわになる瞬間でした。

このメタファシリテーションの成り立ちや具体例などは『途上国の人々との話し方―国際協力メタファシリテーションの手法』(和田信明・中田豊一 著)に詳しくありますので、興味のある方はぜひ読んでみてください。

このセミナーでの回答者曰く、ご飯とみそ汁は理想の朝ご飯なのだそうで、でも実際には朝は時間がないことが多く、手軽さからパンをかじって家を飛び出すことのほうが多かったということなのだそうです。

思い込み(フィルター)

思い込みは、いわば「世界と自分の関わり方」の基礎です。交流分析でいうところの「人生脚本」のプロットです。「私とは⚪︎⚪︎である」という認識のもとになっていて、これを自分から切り離し、その存在を「見る」のは至難の業です。当たり前のことなので、当たり前を疑うという視点を持つのはよっぽどのことがない限り無理だと言っても過言ではないでしょう。その思い込みがアイデンティティの根幹に関わるものであった場合には、当たり前を疑うことにはある種の恐怖が伴ってくることもあるでしょう。

例えば、わたしたちは生物学的な身体的特徴によって性格が「男らしさ」「女らしさ」に振り分けることができ、それが自然に出てくるものだと思い込んでいますが、インターセックス(性分化疾患とも呼ばれます)やトランスジェンダーやノンバイナリーの人たちの存在は、その思い込みに疑問を投げかけます。おっぱいがあるのにスカートを履くのが嫌いだったり、スポーツが得意で料理も裁縫もできないと、まるで自分が女として失格のような気がする人もたくさんいると思います。でも、身体的特徴と性格の相関関係はそれほど顕著でなく、生まれつきの個人個人の性分のようなものの方が性格には重要なファクターだとすれば、別に失格なわけでもないし、無理やり大人しくお淑やかに振る舞う必要もなく、好きなファッションで街を歩いていいということになります。でも、もし、お淑やかで気が利いて可愛いものが好きでフェミニンなファッションが好きなんだと思い込んで、そういう自分を演じ続けている人がいるならば、そういうステレオタイプの枠からはみ出るのは何年も何十年も一生懸命エネルギーを注いできた「セルフイメージ」と決別することになるのですから、それはとても恐ろしいことだろうと思います。ある意味では、その思い込みを認めることで、結婚関係を解消したり持っている洋服を全て買い替えたり、仕事を変えなければならないことも起こりうるからです。

そのくらいに思い込みを単なる思い込みであると知るのは非常に難しいことなのです。

この思い込みに気づく作業を「本当にそれが真実だと言いきれますか?」などの「4つの質問」や「ひっくり返し」によってやるのがバイロン・ケイティの「ザ・ワーク」なのですが、メタファシリテーションは「なぜ」「どうして」を使わずに質問していくという方法でやります。メタファシリテーションは国際協力の問題解決のために生まれた背景がありますから、思い込みを解いてその人を苦しみから解放する「ザ・ワーク」とちがって、その人の行動をロジカルに変えるような印象があると思います。

メソッド

では、どのような質問が問題解決への道を切り開いていくのでしょうか。

詳しくは本やセミナー、ワークショップに参加して知っていただくとして、ここでは簡単な概要の紹介をしておきたいと思います。

事実を知るための正しい質問のしかた

ずばり、「いつ」「どこ」「誰」「何」と「イエス・ノーで答えられる質問」「数字で答えられる質問」です。これだけ。

でも、やってみるとわかるんですが、「なぜ」と「どうして」を使ってしまうんです。

例えば、質問を受ける人の遅刻の原因を探って改善しようとしているとしましょう。これを「なぜ」と「どうして」を使わずに、「今朝は何時に起きましたか?」「今朝は何時に玄関を出ましたか?」「起きてから玄関を出るまでの間に何をしていましたか?」「何時の電車に乗れば間に合いますか?」「その電車に乗るには何時に玄関を出る必要がありますか?」「遅刻しない日はありますか?」「遅刻しない日とする日の起きる時間は同じですか?」「寝る時間は同じですか?」などの質問をしていきます。

これは、非を責めるための詰問ではないので、最初にお互いの間に信頼関係を築く必要があるのですが、本人が「早く寝ないといけないのはわかっているのに、スマホを遅くまで見てしまう」という思いで自分を責めていると、非を責めるようなやり取りになってしまいます。でも、質問する方は、その「ついスマホを遅くまで見てしまう理由」を探ることが目的であることから外れないように、でも「なぜ」と「どうして」を使わずにそれを引き出していくわけです。

対話手法のため、ファシリテーターが必要なのですが、自分でファシリテーターをやりつつ答えを紙に書いていくこともできます。対話の形式になるように、紙の真ん中に縦に線を引いて、左側をファシリテーター、右側を答える人で書いていきます。記録に残るので、後で見返すこともできます。

ワークショップに参加しなくても、書籍や無料のセミナーでも十分その手法に触れることができますので、興味を持った方はぜひ検索してみてください。


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